梅干し あれこれ その1

本来は、梅酢が主役?!

梅干しは、本来、梅酢を作った後の副産物でした。

クエン酸主成分の梅酢は、器具や人体の傷の消毒のほか、金属の

鍍金やはんだ付け、青銅器・鉄器の酸化皮膜処理及び黒鉄・酸化

第一鉄による「黒留め」と呼ばれる酸化被膜による防錆処理の

ために用いられました。

東大寺の大仏に金を鍍金する際にも使われたと言われています。

梅酢は、青酸が登場する昭和中期まで大量に使われていたという

事で、ちょっと驚きです。

防塵マスクにも使用?!

江戸時代、銀山では坑内に立ち込める鉱塵(こうじん)による

粉塵公害「けだえ」が問題でした。

備中国の医師が、鉄枠に梅肉を挟み、薄いきれを張った防塵マスク

を考案、酸の効果で鉱塵を寄せ付けず、効果絶大だったと言われて

います。

種の仁(じん、にん、に)

梅干しの種の中身をあけると皮につつまれた「仁」が出てきます。

それを、俗に「天神様」と言います。

それは、菅原道真公が梅干しを好んだから、また、道真公の「飛梅

(とびうめ)伝説」*に由来するとも言われています。

*「飛梅伝説」とは、菅原道真公が大宰府左遷の折、邸内の梅の木に

「こち吹かば 匂いおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な

忘れそ」と詠んだので、その梅の木が天満宮に飛んで根づいたと

いう伝説です。

梅干しの種は、ご存知の通りとても硬いですが、この部分を好んで食

べるひともいます。

「天神様」がいらっしゃる梅の種を粗末に扱えないと、江戸時代、

太宰府天満宮に作られた「梅の種納め所」が、なんと!今もあるそう

です。

未熟な梅の実には、もともと青酸配糖体であるアミグダリンという成

分が含まれています。それが胃腸で酵素により加水分解され、猛毒で

あるシアン化合物(青酸)を生成します。

これは、特に仁の部分に多く、多量に食べると、青酸中毒に陥り

最悪死に至る可能性もあるということです。

「梅は食うとも核(さね)食うな、中に天神様寝てござる」という

格言もあります。

ただし、このアミグダリンは、梅を漬けることにより、ほぼ消失

し、食べても人体にほとんど影響がないと言われます。

梅干しの種を食べると、アミグダリンは体内で分解され、

チオシアネートと安息香酸という無害な物質になり、鎮痛、消炎

殺菌、整腸、血液・リンパ液の流れを改善、デトックス効果、

免疫力を上げる作用があると注目されているそうです。

媒染剤にも

クエン酸を利用して、糸を染める時、染料を固着させる役目をする物

質である媒洗剤としても利用されます。

体に良いのみならず、いろんな用途に利用され、奥も歴史も深い

梅干し、次回はまた違う視点からお伝えします。

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